[著:しるこ]
6月18日(水)、横浜日産スタジアムにて、横浜Fマリノスと韓国、城南一和の親善試合が開催される。キックオフは午後7時。
日本国内で開催される数少ないプレシーズンマッチだ。
城南一和という名前はもうすでに多くのサッカーファンが知り得る名前だろう。韓国Kリーグの強豪として、過去2度の三連覇を含む7度のリーグ制覇を成し遂げており、各種アジアの大会などにも何度も出場している。シーズン前のキャンプを毎年日本で行っていることもあり、練習試合も含めると、日本のクラブとの対戦経験も豊富だ。
一番近いところでは、昨2007年のアジアチャンピオンズリーグで浦和レッズと準決勝を戦ったことが思い出される。弱点らしい弱点が見あたらず、優勝候補筆頭と言われていた浦和レッズを相手に、ホーム、アウェイ共に引き分け、最終的にPK戦にまで持ち込んだのは見事だったとしか言いようがない。
漠然としかイメージできなかった「韓国のクラブサッカー」に対する日本のファンの認識を少し変えたのもあの試合であり、城南というチームだったことは間違いないだろう。
■about Songnam ilhwa chunma
1988年、一和プロサッカー団として創設し、翌年からプロリーグに参戦する。
創設メンバーには、後にセレッソ大阪で活躍する高正云(コジョンウン)がおり、高正云(コジョンウン)はその年、新人王を受賞している。
1993年から1995年にかけてプロリーグ3連覇という偉業をやってのけ、1995年には当時のアジアクラブ選手権で優勝。アジアチャンピオンに輝いた。
2000年には初の在日韓国人選手として、朴康造(現ヴィッセル神戸所属・2000-2002在籍)を、翌2001年には初の日本人選手として、海本幸治郎(現東京ヴェルディ所属・2001-2002在籍)を、それぞれ獲得し、話題となった。
一和サッカー団も前出のLG同様、プロリーグ再編で1996年にソウルから転出、ソウル市に隣接する天安(チョナン)市にホームタウンを移すことになった。しかし、天安にホームを置いていたのは3年間に過ぎず、1999年には現在のホームタウンである城南(ソンナム)市に再び移転している。
天安のスタジアムにはナイター設備がなく、真夏の暑い時期や平日でもデーゲームでの試合を余儀なくされていた。そんな中ワールドカップ開催をにらみ、城南市が新たにスタジアムを建設し、プロサッカーチームの誘致に乗り出したことがきっかけだった。
2000年代に入り、城南は常勝チームの仲間入りを果たす。
2001年から2003年にかけて、2度目のリーグ3連覇。そして、2006年、7度目のリーグ優勝。
2007年は、プレーオフで浦項に破れ準優勝に甘んじたが、リーグ戦では堂々の1位。総合力では韓国プロチームナンバーワンという座は譲っていない。
そして2008年、今現在も11試合戦って6勝4分1敗の2位という好成績を維持している。
城南一和の強さは、バランスだ。
誰か決定的にレベルの高い選手がいて、その選手が引っ張るというチームではない。もちろん選手個々のレベルが高いのも確かだが、それ以上にいわゆるチーム力、試合をコントロールする監督の戦術眼の高さが目立つ。
1+1を2以上にする何かを城南は持っている。その術を知っている。それがこのチームの強さだ。
そしてもう一つはそういったチーム作りのための補強の的確さだ。
自分たちのチームに不足している部分、ほころびが見えてきた部分に的確に選手を補強し修正する能力が高い。
今年の春、昨年までチームの中心選手だったキムドゥヒョンがイングランド1部リーグウェストブロムウィッチ(2008-2009シーズンよりプレミアに昇格)に移籍し、戦力的な不安も予想されていたが、ふたを開けてみれば大きく崩れることなく、補強とチーム力でしっかり乗り切っている。
選手が一人欠けてもその穴を埋める選手がどこのポジションにもいる。
出場メンバーが変わっても、たとえば主力といわれるメンバーが一人欠けても、同じクオリティで試合ができる。
11人がバランスよく融和している、そんな印象を持つチームだ。
一時期は、お金を使いむやみに選手補強を行ったりもしたが、最近はチーム在籍年数の長い選手が多く、長期的視野にたったチーム作りを行っている「優等生」チームとも言える。
ここ最近、新しい力がなかなか出てきていないのが、唯一ともいえる問題点であり、今後のチームの課題だろう。
チームを指揮するキムハッポム監督は、2005年城南で監督デビューを果たし、その当時から結果を出し続けている知将。1960年生まれの48歳。 若い指導者だ。
若い頃から成人チーム(実業団等)、代表チームのコーチや協会の技術委員などを歴任したいう経歴の持ち主だ。
強豪チーム故に、代表選手も数多くいるが、代表選手が抜かれてもあまり揺るがないのも、優等生たるこのチームだからこそだろう。
現役代表選手は、GKチョンソンリョン、DFチョビョングク、MFでは元名古屋のキムジョンウなどがいる。
その他、チームには、モッタ、トゥドゥという二人のブラジル籍選手、元柏レイソルのチェソングクや、Jリーグ大分トリニータ、ロシアのルビンカザンなど、海外でのプレー経験豊富なキムドンヒョン、等、昨年からおなじみの名前が並ぶ。
そんな中、ポジションをしっかり確保した新人選手、チョドンゴンに注目だ。
本大会への出場はないが、U17、U19といったユース年代の代表候補にも名を連ねたことのある逸材で、今年はプロでの活躍が認められ、ワールドカップ予選の候補選手にまでなった。
モッタ、トゥドゥという得点力に優れた外国籍選手が活躍するFWというポジションで、現在4得点、4アシストと予想以上の活躍を見せている。4アシストは今現在リーグ戦アシストランクトップの数値だ。
ここ数年スタメンが固定されていたチームにとっても、チョドンゴンの活躍は明るい材料だろう。
城南と横浜FMは、2004年に公式戦で3度戦っており、城南が2勝1敗でリードしている。両チームが対するのは、4年ぶり、今回は果たしてどんな戦いになるのだろうか。
★参考
2000年以降、Jリーグチームとの公式戦記録(通算4勝3分2敗)
2002年
○清水1-2城南(ACL・3/12)
2003年
○磐田0-2城南(A3・2/16)
▲鹿島0-0城南(A3・2/22)
2004年
○横浜FM0-3城南(A3・2/22)
○横浜FM1-2城南(ACL・4/7)
●城南0-1横浜FM(ACL・4/21)
2007年
●浦和1-0城南(A3・6/10)
▲城南2-2浦和(ACL・10/3)
▲浦和2(5PK3)2城南(ACL・10/24)



