[written by Oracion]
■因縁
舞台はロンドン、スタンフォード・ブリッジ。ユナイテッドを追走する2位チェルシーがアーセナルをホームに迎える。
何かと因縁のある両クラブ。チェルシーの一挙手一投足に過剰反応するヴェンゲルとそれにウンザリしているモウリーニョの関係は今やファーガソンとヴェンゲルの関係以上に劣悪である。“守備的”“金”“覗き魔”etc…。ワードを挙げればきりがない。
そして今回の対戦では“キャッシュリー・コール”問題が両者のライバル意識に拍車をかけている。タブロイド紙では彼をモチーフにした£20札(カラーはブルー!バンク・オブ・ロシア!ピーター・ケニオンの顔も!)が掲載されるほどに…。いかにもイングランドらしい、皮肉がふんだんに盛り込まれたジョークである。これでサポーターたちが煽られないわけがない。
順位の上で10ポイント差をつけられているアーセナルはもちろん、1試合消化が少ないとはいえユナイテッドに6ポイント差をつけられているチェルシーも首位奪還のために3ポイントがほしい試合である。
激しく、熱く燃え上がるであろうロンドンのサンデーナイト。結果やいかに。
■地力に勝るチェルシー
昨シーズンの同シチュエーションでの試合はチェルシーが1-0で勝利を挙げている。特にドログバはゴールだけでなく、パフォーマンスの面でもアーセナル守備陣を圧倒した。しかも今シーズンもここまで絶好調。彼が攻撃のキーになることは間違いない。
前節は難敵ボルトンからしっかりと勝点3をもぎ取り、主力を温存して臨んだCLでもレフスキソフィアに勝利した。選手のポテンシャル、調子、コンディションetc…。多くの面でチェルシーはアーセナルを上回っている。不安を挙げるとするならば右サイドバックぐらいか。
■不安だらけのアーセナル
一方のアーセナルは不安要素だらけ。アンリ、ギャラス(以上故障)、トゥレ(サスペンデッド)といった攻守の要が欠場。CBは昨シーズン、ドログバに良いようにやられたセンデロスと若いジュルーが務めることになる。
リーグでは2連敗の後、ノース・ロンドン・ダービーで快勝し、CLでも決勝トーナメント進出を決めたが、調子が良いというより相手のミスに助けられた部分が大きい。多くの面で劣るだけにこの大一番で3ポイントを獲得するにはより一層のモチベーションを胸に抱くことが必要である。
■強豪対決らしい前半
序盤は中盤での潰し合いが激しく堅い展開が続いたが徐々にアーセナルがボールを支配する。
アデバイヨールがジェレミをぶっちぎり、左のバイタルエリアからファンペルシーがミドルシュートを放つなど、チェルシーのウィークポイントを突いた攻めで時折形を作った。だがテリー、カルバーリョの巧みなカバーもあり、シュートは少なく、イラーリオが肝を冷やす場面は皆無に近かった。
一方のチェルシーはランパードのシュートがポストに直撃するなど中盤以降、徐々に反撃を開始する。ドログバはセンデロスを子どものように扱い、エッシェンは縦横無尽にフィールドを駆け回った。アーセナル守備陣が小さなミスを連発したこともチェルシーに流れを与えてしまった要因である。だがジウベルトの必死のカバーリングなどもありゴールをあげるまでには至らず。
前半はプレミアシップの強豪対決らしい緊迫した堅い展開が続いた。
■女神に守られたアーセナル。神に救われたチェルシー
本当の後半が始まったのは67分からだ。勝点3を取りに行くためにチェルシーが動いた。動きの悪かったシェフチェンコとジェレミに代えて、ロッベンとライト=フィリップスを投入。3トップにシフトする。
ここからチェルシーが、いやロッベンが怒涛の攻撃を開始。マッチアップしたエブエのチェックをもろともせず、ドリブルからチャンスを多く演出した。アーセナルはシステムを変えてきたチェルシーに対応できておらず、ゴール前でフリーの選手を作ってしまうなど不安は増した。
だがフットボールというものは分からない。チェルシーは攻撃に意識を傾けすぎ、中盤の枚数を減らしたことにより守備時のチェックが甘くなっていた。一瞬の隙をアーセナルが突く。
77分、フラミニがゴールを右サイドへ流し、フレブがマイナスのクロスを再びフラミニへ。強烈なシュートをイラーリオはかき出すことが出来ず、アーセナルが貴重な先制点を挙げる。
だがこれで屈しないのが4シーズン、ホームゲームでは負けていないモウリーニョであり、2シーズン、スタンフォード・ブリッジで負けていないチェルシーだった。
84分、A・コールが奪取したボールをロッベン、ランパードと繋ぎ、最後はエッシェンが強烈なロングシュートをお見舞いする。スライスのかかったボールはレーマンを避けるかのようにゴールネットへ吸い込まれ、チェルシーが同点へ追いついた。
この流れに乗り、終盤再び攻勢をかけるが前半から幾度となくアーセナルに味方してきたポスト、クロスバーが再びアーセナルを守り、結局そのまま終了。
スパーズ対チェルシー戦に勝るとも劣らないスリリングな試合は痛み分けのドローに終わった。
■チェルシー総括
勝点3を取れる試合だっただけにチェルシー側からすれば“取りこぼしたゲーム”となるだろう。
ただ内容的には濃く、全く悲観すべき結果ではない。ドログバ、エッシェンは相変わらず絶好調。神ですらあった。A・コールもプレッシャーがかかっていた割にまずまずのパフォーマンスを披露。
この試合で持ち上がった問題は4−4−2か4−3−3か、ということ。このゲームでは疲れが出てくる時間帯に両翼を投入し、押せ押せ状態になった。エンターテイメント性を考えてもこちらの方が好ましい。
ただ考え方は難しい。途中からシフトする方が効果的に働くのかもしれない。特にロッベンは途中投入された方が明らかに脅威になる。
しかも最初から3トップで行くにはリスクがいる。ダフを放出したことにより、現在チェルシーにはウィンガーが3人しかいない。加えて過去2シーズンはウィンガーが勝負どころで離脱し、システムがうまく機能しなくなってしまった。そのトラウマがある。
そう考えると、堅く勝ちに行けて怪我人が出ても大きく戦い方を変える必要のない4−4−2の方が無難なのではないか。
現時点で明確な解はないが、なんにしてもバラックやシェフチェンコの出来によって今後の展開が変わってくるだろう。彼らのフィット度、モウリーニョの戦略に注目したい。
彼らがフィットしない状態が続いたままでは、今のところ死角が見当たらないユナイテッドを捕まえることは難しいのだから。
■アーセナル総括
悪いながらも耐えて先制点をもぎ取っただけに勝ちたかった試合だ。ただエッシェンのスーパーゴールはどうしようもなかった。アンリ、トゥレという攻守の要がいなかったことを考えれば悪い結果ではないだろう。ポストの女神に感謝すべき内容ですらあった。
攻撃面に関しての大きな不満はない。中盤でボールを繋ぐアーセナルらしい戦いを展開できていたところは好感であり、得点シーンがその典型だった。
挙げるとすればアデバイヨールが絡めば(仕事をしてくれれば)決定機に繋がるシーンが多いのだが仕事をしてくれる回数が少なすぎる。周囲との関係等を考えていかなければならないだろう。
大きな問題は守備面。ゲーム感が戻っていないとはいえセンデロスがドログバにやられすぎた。そのため前線で基点を作られ、両サイド、2列目の選手とうまく絡まれてしまった。
加えて守備陣の小さなミスが多かったこともチェルシーの勢いを助けしてしまった。これだけミスが多くてはこれまで格下相手に勝点を落としてきたのは必然といえよう。
次節復帰予定のディフェンスリーダー、トゥレを含めて問題を改善していかなければならない。
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Chelsea 1-1 Arsenal
(チ)エッシェン (ア)フラミニ
ゲーム・クオリティー…★★★★★
補足…アーセナルのミスが目立ったが、レベル、エンターテイメント性においても非常に高かった
レフリー(アラン・ワイリー)…★★★★★
補足…難しい試合をうまく裁いた。素晴らしいジャッジ。さすがアラン・ワイリー
[written by Oracion]
さすがにロンドンダービーだけあって、1対1のドロー試合という結果以上に、面白いゲームだったとあたしも思います。
やたらと、アシュリー改めキャシュリー・コールのアップが取り沙汰されるのはイングランド・サポーターのあたしには、可哀相に思えましたが、実際紙幣を握っているアーセナル・サポーターが写された時は笑えました。
結局最後まで見た為に、朝少し寝過ごして会社に少し遅刻してしまったあたしでした。
ジェラードもびっくりのレーザービームでした。
お疲れ様でした。私も寝坊して単位が危ないです(汗)今シーズンは強豪対決で面白い試合が多いですね。例年ですと堅いままに終わっちゃう試合が多いんですけど。
>KAZUさん
確かに。マケレレのゴールよりインパクトありました。まぁでもポーツマス×エバートンのマシュー・テイラーのスーパーゴールも採用される可能性ありますね。
今節は凄いゴールが多かった(笑)