2008年02月22日

東アジア選手権大会 中国×韓国

[文/しるこ]


ここしばらく4バックシステムでたたかっていた韓国代表は、久しぶりに3バックに戻した。中央にチョヨンヒョン、左右のストッパーにカクヒジュ、カクテフィの3人が基本的にはフラットに並ぶ守備体形をとる。代表としての経験も少なく、この3バックでの出場もほとんどないこともあって慎重にラインをコントロールしているのが見て取れた。攻撃されてもあまりラインを下げないようにしていたこともあって、両ウィングの二人が吸収され、5バックで守ることも当初は多く見られたが、そのおかげで守備が安定し、チームに落ち着きを与えた。
センターバックのチョヨンヒョンの強みは、ラインを下げすぎない強気のラインコントロール、カクヒジュとカクテフィは、セットプレーでも発揮される高さ、制空権だ。守備でももちろんだが、セットプレーにおける、二人の高さと滞空時間はかなりの優位点だ。

チームの統制をとるのは、DHに入ったキムナミルだが、この試合で大きく貢献したのは、むしろチョウォンヒの方だった。前回のワールドカップの時までサイドバックで代表に選出されていたチョウォンヒが昨年チームでDHにコンバートされ、この試合でもその同じポジションをつとめた。サイドバックで鍛えた判断力が大きく生き、的確に攻守のつなぎとなっていた。
中央に二人守備的に配置し、元々攻撃的な両ウィングのイジョンミンとパクウォンジェも普段より下がり気味と守備的に試合に入っていた感はあるが、全体的にコンパクトになったことで、今までのように両サイドの選手がカバーリングのため大きく動く必要が減り、局地的に人が足らなくなるという問題点も解消されていた。

ただ、その分、確かに選手と選手の距離が非常に近くなり、攻撃においても守備においても連携の強さは増してきたように見えるが、選手の動きがそれほど多くないことが気になる。たとえばウィングの選手がサイドのフォワードを追い越していく動きや、ゴールラインぎりぎりまで切れ込んでいく動きというのが少なく、狭い範囲だけでボールが回っている、そんなイメージだ。
イジョンミンもパクウォンジェも本来はもっと攻撃的な選手であり、FWに近い位置でプレーする選手だ。しかし、この試合ではどちらかというと守備に近い位置にいることの方が多かったように見える。
失点しないサッカーならいいのだが、ゴールを得るためにはリスクのある動きも必要だ。前半終了間際、ゴールに結びついたのは、ヨムギフンがラインぎりぎりまで切れ込み、左足でクロスをあげたことに起因する。同じく慎重に動いていた中国が少し攻撃的になり始めた矢先の事だった。左利きのヨムギフンをマークしケアしていた相手の守備が、ヨムギフンの右側に身体を寄せたことで、左に一瞬スペースができた。これは中国側の痛恨のミスとも言えるだろう。

試合はそのまま韓国が1-0でリードした状態で前半を終える。
後半に入り、中国が攻撃的にシフトしてくると、今まで順調だった韓国の守備に少しずつほころびが出てくる。経験不足から来るのかもしれないが、センターのチョヨンヒョンとカクテフィの相手FWに対する反応が少し遅れがちなのが見えてくる。前半はプレッシャーも弱く落ち着いていたように見えたが、プレッシャーがかかり、ボールを大きくふられるとカバーリングが遅くなりピンチを招いてくる。相手はそこを見逃さず、チョヨンヒョンとカクテフィのサイドを集中的に攻めてくる。
結果的に、その二人がいたサイドを相手攻撃に翻弄され、GKと守備の連携が乱れたことが失点を招いた。

韓国にとって幸運だったのは、すぐにフリーキックで同点に追いつけた事だろう。
セットピースで威力を発揮できる選手が、今の代表にはヨムギフンとイジョンミンくらいしかいない。が、逆に、パクチュヨンの意外性のあるキックはむしろキーパーにはとりにくいものだったのかもしれない。

その後、やはりどうしても若干遅れがちになる守備に何度かピンチをむかえるが、終了間際、なぜか前線に残っていたカクテフィが鮮やかなゴールを決め、中国の30年ぶりの韓国戦勝利の夢は一瞬にして消えた。
カクテフィは、ワールドカップ予選トルクメニスタン戦に次ぐ、2試合連続ゴールで一躍シンデレラボーイとなった。

学生時代には、ユニバーシアード代表や年代別代表の経験もあるカクテフィだが、FCソウルに入団後は選手層の厚いチームでなかなかレギュラーポジションをつかめずにいた。2007年のシーズン途中、当時全南にいたキムジンギュがソウルに移籍してきた事を受け、交換トレードという形でカクテフィはソウルを離れ全南に移籍した。
その当時の全南の監督が現代表監督であるホジョンム。ホジョンム監督は移籍してきたカクテフィをすぐに全南のレギュラーセンターバックに据えた。

ところでこの日、代表デビューを果たした選手が二人いる。
後半途中、ヨムギフンに変わって入った若干18歳のクジャチョルと、やはり後半途中イグンホに変わって入った長身FW、コギグだ。二人とも短い時間だったが、多くの可能性を見せてくれた。
彼らにしてみれば、この大会は生き残りをかけた戦いの場でもある。監督の大きな期待を受けて選出された彼らの、残り2試合での戦いにも注目してみたい。

◆東アジア選手権大会、初戦
中国2-3韓国
43分韓国:パクチュヨン(ヨムギフン)
47分中国:Zhou Haibin
61分中国:Liu Jian(Du Zhenyu)
65分韓国:パクチュヨン
90分韓国:カクテフィ(コギグ)

メンバー
【中国】
Zhong Le(GK)
Zhang Shui
Sun Xiang
Li Weifeng
Wang Dong
Qu Bo(90分Lu Zheng)
Du Zhenyu(81分Li Yan)
Zho Ting
Liu Jian(81分Jian Ning)
Zhou Haibin
Xu Yunlong
【韓国】
チョンソンリョン(GK)
チョヨンヒョン
カクヒジュ
カクテフィ
イジョンミン
パクウォンジェ
チョウォンヒ
キムナミル
イグンホ(76分コギグ)
ヨムギフン(62分クジャチョル)
パクチュヨン

シュート数
韓国11(4/7)、中国6(2/4)

警告
Sun Xiang(06分)、Du Zhenyu(20分)、Qu Bo(51分)、Liu Jian(62分)、Li Weifeng(75分)
posted by FOOTMANIA編集部 at 14:06| Comment(0) | TrackBack(0) | マッチレポート
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