2008年02月28日

東アジア選手権大会 日本×韓国

[文/しるこ]

韓国は最終戦、引き分け以上で優勝が決まる。
しかし、やはりどうしても対日本戦となると引き分けでいいとはいかないのが実情だ。「日本には勝ちたい。勝たなければいけない。」というホジョンム監督の強い気持ちの表れなのか、ワントップの日本に対し、3バックに2トップ、という中盤を厚くするシステムを引いた。
つまりは3試合すべて違うシステム、違う選手でたたかったということにもなる。

3バックのメンバーも中国戦とは変えてきた。カクヒジュの変わりにどちらかというと対人守備に強いカンミンスを入れ、カクテフィ、チョヨンヒョンという3人で守備の布陣を引く。中盤は中国戦と同じ4人のメンバーに、オジャンウンを加えた5人。両サイドはイジョンミンとパクウォンジェ、キムナミルとチョウォンヒという2枚のDH、オジャンウンはOHとして起用する。
ここにきて、パクチュヨンもコギグも怪我というアクシデントに見舞われたFWは、この大会まだ出番のなかったチョジンスと左利きのヨムギフンという2トップで試合開始をむかえた。

「負けてはいけない」という気持ちがそうさせるのか、全体的に守備的に試合が始まった。
守備的というよりは、後ろの方に無駄に人が密集しているのが気になる。1戦目2戦目共に、比較的バランスがよく、局地的に人が密集したり逆に足らなくなったり、という場面がほとんどなかったのだが、どうにもこの試合では守備に人が密集し、攻撃に人数が足らないという現象がたびたび起こる。得点がとれなかった頃の、韓国代表の悪い癖が少し顔を出したようにも見える。
特に比較的早い時間に、得点したことが原因なのか、得点後は日本がボールを持っている時には、相手の攻撃に合わせ、全体的にずるずると下がってきてしまう事が何度が見られるようになった。中国戦や北朝鮮戦では相手が比較的守備的だったことを鑑みても、どうしても「下がりすぎ」に感じてしまう。

選手個々で見れば、キムナミルやヨムギフン、パクウォンジェといった選手たちが比較的前へ前へという動きが見えていたのだが、チョジンスがなぜか最終ライン近くまで戻ったり、オジャンウンもDHの位置まで下がってしまったり、守備もカンミンスが一人だけ後ろに残ってしまったり、と攻撃と守備の選手個々の考え方にずれが生じているようなそんな印象を受けた。
他の試合に比べ、キムナミルの積極的な上がりが目立ったのは、下がってきてしまう他の選手たちとのバランスを考えた判断なのだろう。ここがキムナミルの個人の能力であり、北朝鮮戦で見せたイグァヌのプレーもそうだが、ベテランとしての経験なのだろう。選手個人の技術云々とは違う、ゲームの流れを読み、判断する能力、ここ最近の韓国代表、というか若い代表に足りなかった部分だ。

後半に入り、途中でキムナミルを下げてクジャチョルを投入。守備的なMFをチョウォンヒ一人に任せ、攻撃的な中盤を2枚にするという攻撃的な選手交代だ。リードをしている中、攻撃的なシフトチェンジに、いったいどんな思惑があったのだろうか。しかもチームとしてのバランサーだったキムナミルをあえて下げ、18歳のクジャチョルを投入するというのは、かなり思い切った交代でもある。

結果的に、この交代はあまり効果的ではなかった。
攻撃的な選手交代のはずが、結果的には後半大きな変化はなかった。数字で見ればシュート数も減っており、追加点を奪えるどころか失点、勝利を得ることはできなかった。
この試合の失点も、ずっと以前から課題として残っている「セットプレーからの失点」、その課題は今回も克服されることはなかった。しかも、韓国が一番警戒していた山瀬のゴールだ。
北朝鮮戦でも日本戦でも、結果的に一番警戒していたはずの選手にゴールを許してしまっている。

それでも全体的に見れば、以前よりかなりよくなっている。
チームとしてのバランスもよくなり、得点力も上がっている。若きエースとして期待されているパクチュヨンの復活云々の話も出ていたが、それよりもヨムギフンの質の高いプレーが明るい材料だろう。
韓国にはそれほど多くない左利き、FWとしても、サイドアタッカーとしても、プレースキッカーとしてもある一定のレベルでプレーができる柔軟性、試合の流れを読み着実にゴールにつなげていける判断能力、ヨムギフンが韓国代表の攻撃を活性化させたことは間違いない。
中盤はキムナミルの能力の高さを改めて感じたが、チョウォンヒの存在感は特筆すべきことだろう。
守備にはもちろんまだまだ課題も残るが、かつて3バックといえば、二人のストッパーに中央の選手が一人余ってカバーリングという陣形の多かった韓国に、新しいタイプのセンター守備が誕生したのはうれしいことだ。まだまだ個人の能力は未熟だが、前へ前へラインを押し上げる積極的なコントロールが可能なチョヨンヒョンの成長如何でまた守備も変わってくるだろうと思われる。

私個人的に、ここ何年も韓国代表の試合を面白いと思ったことがなかった。
この大会での3試合は、久しぶりに面白いと思いながら試合を観戦した。今まで何となく感じていたずれや違和感、たとえば戦術やポジションと選手の能力やさらには選手選考に至るまでのずれ、これは本当に適材適所なのか、とか、そういった違和感が少しずつ解消されつつあるのかもしれない。

◆東アジア選手権、第3戦
日本1-1韓国
14分韓国:ヨムギフン(パクウォンジェ)
68分日本:山瀬功治

メンバー
【日本】
川口能活
今野泰幸
遠藤保仁
山瀬功治(86分播戸竜二)
田代有三
鈴木啓太
中村憲剛(62分安田理大)
加地亮
中澤佑二
橋本英郎
【韓国】
キムヨンデ
チョヨンヒョン
カクテフィ
カンミンス
イジョンミン
パクウォンジェ
チョウォンヒ
オジャンウン
キムナミル(56分クジャチョル)
ヨムギフン
チョジンス(67分イグンホ)

シュート数
日本6(3/3)、韓国8(5/3)

警告
キムナミル(40分)、パクウォンジェ(89分)

◆東アジア選手権結果
優勝:韓国
2位:日本
3位:中国
4位:北朝鮮

MVP:キムナミル(韓国)
ベストGK:リミョングク(北朝鮮)
ベストDF:中澤佑二(日本)
フェアプレー賞:韓国
posted by FOOTMANIA編集部 at 11:44| Comment(0) | TrackBack(0) | マッチレポート
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